第5回
自然言語とプログラミング言語の違い
「あいまいさ」を武器にする人の言葉と、「厳密さ」が命の言語を比べる
自然言語
- あいまい・省略が多い
- 文脈に依存する(=聞き手が意味を補う)
- あいまいさは"欠陥"ではなく効率的な設計:文脈が働くから、短い形を使い回せる
- 例:「それ、お願い」で通じる/主語を省いても伝わる
プログラミング言語
- 曖昧さゼロが前提
- 文法が1文字違うだけでエラーになる
- 共有された文脈を仮定できない → だから曖昧さを禁じる
- 「だいたい伝わる」は存在しない
自然言語は「察してもらう」ことが前提、プログラミング言語は「察してもらえない」ことが前提
参考:自然言語の曖昧さは"効率的な設計"=Piantadosi, Tily & Gibson (2012, Cognition)
次のお題を①友達に言うとき/②AI(Gemini)へのプロンプトとして書くとき、の2バージョンで書こう
①と②で「何を省略したか/何を追加したか」を見比べよう
いくつかのペアの②(AI向け)を共有し、共通点を出し合おう
良い指示=あいまいさを減らす工夫
- 誰が(読み手・相手は誰か)
- 何を(具体的に何をしてほしいか)
- どんな条件で(制約・こだわり)
- どのくらいの長さ・形式で
→ これが、次の④「良いプロンプトの条件」に直結する
気づき(noticing)
言語習得には、自分の言い方と正しい言い方の「ズレ」に気づくことが欠かせない(noticing hypothesis)
メタ言語能力
自分が使っている言葉を、一歩引いて客観的に見る力
今日のBワークがまさにそれ
「人向け」と「AI向け」で書き分けた作業は、自分の言いたいことを言語化し直す練習=メタ言語能力を鍛える機会になっている。
普段は無意識に自動化されている言語処理を、あえて意識に引き戻す作業でもある。
出典:白井『第二言語習得論入門』p47-48(気づき/noticing=a・anやおばさん例/明示的教育も大事)/意識と無意識=酒井『言語の脳科学』表2-1 p50
④ 生成AIミニ実践(20分)
曖昧な指示 vs 具体的な指示
使うAI:Google Gemini(無料・大学アカウントでOK)
① 曖昧バージョン:「レポート書いて」
② 具体的バージョン:「大学1年生向けに、〇〇について800字程度で、です・ます調でレポートの下書きを書いてください」(〇〇は各自好きなテーマに)
2つの出力を見比べて「具体的にするとどう変わったか」を記録。良いプロンプト=AIに察してもらうのではなく、条件を先に渡すこと(伊藤)。個人情報は入れない。プロンプト2回で完結
🔧 制作の技 4/9「プロンプトの型(本丸)」
― この「具体的に指示する」が、第11回のアプリの指示文(誰が使う・機能・見た目)にそのまま化ける
今日のリアクションペーパー
今日、自分の指示の出し方で
「あいまいだったな」と気づいた点は?
次回 第6回
脳科学とAI:
メタ認知とメタ言語能力
自分の学び方を客観視する方法を、脳科学の視点から掘り下げます。
あいまいさは、人の言葉の武器。
AIに伝えるときは、その武器をいったん置く。
条件を先に渡す。それが良い指示の第一歩。