第7回

論理は一つではない①(アメリカ・フランス)

文化によって「論理的」とされるエッセイの型が違うことを知る
到達目標:米・仏のエッセイの構成や論の進め方の違いを読み取れる

今日の流れ(100分)

1
導入+前回(脳科学とメタ認知)の振り返り
5分
5
③ミニ講座:対照修辞学入門
12分
2
A ミニ講義:4領域の論理/米=経済/仏=政治
10分
6
④生成AI:米式・仏式で書き分け
20分
3
B ワーク:構成マップ作り
15分
7
振り返り+次回予告
10分
4
C 全体共有:論の運び方の違いを言語化
15分

A 米=経済の論理/仏=政治の論理

アメリカ式:エッセイ(経済の論理・5パラグラフ)
主張
(序論)
根拠①
根拠②
根拠③
→言い換え
目的=効率性・確実な目的の達成。主張を先に明示 → 根拠を一直線に並べる
証拠=観察・データ・事実
フランス式:ディセルタシオン(政治の論理)
テーゼアンチテーゼジンテーゼ
目的=矛盾の解決・公共の福祉。導入で問いを立て、正・反・合で議論し、結論で次の問いへ
証拠=古典・先人の考え(共通の教養)
どちらも「論理的」。良い/悪いではなく型が違うだけ

B ワーク:構成マップ作り

お題:「大学生はアルバイトをすべきか」で書かれた米式・仏式サンプルを読み比べる
1
配布された米式・仏式サンプルエッセイ(各150語程度)を読む
2
構成を図式化する(矢印・箱で「結論→根拠→根拠→根拠」or「正→反→合」)
3
ペアで構成マップを見せ合い、型の違いを確認する
配布物:日本語訳つきサンプル2本/構成マップ記入シート

C 全体共有:論の運び方の違い

数ペアに構成マップを発表してもらい、板書で対比整理する
経済の論理・エッセイ(米) vs 政治の論理・ディセルタシオン(仏)
討論:「自分が普段書く日本語の文章は、どちらに近い?」
→ 次回(第8回)、日本の型を見ていく橋渡し

③ ミニ講座:対照修辞学(contrastive rhetoric)

言語学者カプラン(Kaplan):文化ごとに文章の「展開パターン」が異なる
米:エッセイ(経済の論理)
主張 → 根拠 → 根拠 → 根拠(一直線)
仏:ディセルタシオン(政治の論理)
正 と 反 が対立 → 合で統合(山型に折り返す)
※Kaplanの図式は後に単純化しすぎと批判されたが「型は文化で作られる」という気づきは今も重要
渡辺雅子:型の違いは〈①目的 ②並べる順番 ③何を「証拠」とするか〉から生まれる ― 米=データ・事実/仏=古典・先人の考え
各型の背後には「推論の型」がある(序章)=仏ディセルタシオン=弁証法/米エッセイ=蓋然的推論(レトリック)
出典:渡辺雅子『論理的思考とは何か』第二章 表2-1=p65/分析の3軸=p64・四つの推論の型=序章(岩波新書)
④ 生成AIミニ実践(20分)

AIに「米式」「仏式」で書き分けさせる

使うAI:Google Gemini(無料・大学アカウントでOK)
配布プロンプト
次のテーマについて、2つのバージョンで英作文(150語程度)を書いてください。①アメリカのエッセイ式:序論で主張を述べ、本論で根拠を3つ挙げ、結論で主張を別の言葉で繰り返す。②フランスのディセルタシオン式:導入で問題提起と3つの問いを示し、展開で正(定立)・反(反定立)・合(総合)の弁証法を行い、結論でまとめて次の問いを示す。テーマ:「大学生はアルバイトをすべきか」
2つの出力を読み比べ、構成マップワークシートに「AIが書いた型」を記入。個人情報は入れない
🔧 制作の技 6/9「役割・スタイルの指定」 ― 「〜式で」と指定すると書き方が変わる。アプリの見た目・トーンを注文する動作に直結

振り返り と 次回予告

今日のリアクションペーパー

今日、一番「えっ、
そうなんだ」と思ったのはどこ?
次回 第8回

論理は一つではない②
(日本・イラン)

4カ国そろえて、自分(日本語)の型を外から見てみます。

論理に、正解は一つじゃない。

型を知れば、伝わる書き方を選べるようになる。
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