第8回

論理は一つではない②(日本・イラン)

自分(日本語)の論理の型を、外から見てみる
到達目標:日本と中東(イラン)の論の展開の違いを理解し、自分の当たり前を相対化できる

今日の流れ(100分)

1
導入+前回(米・仏の型)の振り返り
5分
5
③ミニ講座:文化と思考様式
12分
2
A ミニ講義:日=社会の論理/イラン=法技術の論理
10分
6
④生成AI:4カ国式を比較する
20分
3
B ワーク:構成マップ+自分の作文を振り返る
15分
7
振り返り+次回予告
10分
4
C 討論:自文化の論理を相対化する
15分

A 日=社会の論理/イラン=法技術の論理

日本式:感想文(社会の論理)
序論
対象の背景
本論
書き手の体験
結論
感想・成長
目的=他者への共感。主張を立てず、自分の体験を語ってから振り返る
証拠=自分の体験・感情(共感)
イラン式:エンシャー(法技術の論理)
序論
主題の背景
本論
3段落で説明
結論
ことわざ・詩・感謝
目的=真理の保持。主題を3段落で説明し、ことわざ・詩・神への感謝のいずれかで結ぶ
証拠=聖典コーラン・預言者の言葉
4つの領域を並べると「主張を先に立てるか/体験や主題の説明から入るか」など軸が複数見えてくる

B ワーク:構成マップ+自分を振り返る

お題:「大学生はアルバイトをすべきか」の日本式・イラン式サンプルを読み比べる
1
配布された日本式(感想文)・イラン式(エンシャー)サンプル(各150〜200字程度)を読む
2
構成マップを描く(感想文の3段構成/エンシャーの3段構成、それぞれの中身の違いに注目)
3
自分が今まで書いてきた作文はどの型に近いか、一言メモする
配布物:日本語・イラン式サンプル/構成マップ記入シート(第7回のシートも持参)

C 討論:自文化の論理を相対化する

グループで話し合う
「日本の作文教育で『良い文章』とされてきたものは、実はどんな型だったか(=体験を語り感想でまとめる型)」
視点の共有
「主張を先に立てない」ことは、他の型(米・仏)から見ると分かりにくく見えることもある
→ 型に優劣はない。ただし「相手が期待する型」を知らないと伝わらないことがある

③ ミニ講座:4つの領域の論理

論理の型は国民性ではなく、各領域の目的+学校の作文教育で形成される。〈①目的 ②並べる順番 ③何を「証拠」とするか〉の3軸で違う(渡辺雅子・表2-1=p65)
経済領域・エッセイ
主張→根拠3つ→主張の言い換え
証拠=観察・データ・事実
政治領域・ディセルタシオン
問題提起→正・反・合→まとめと次の問い
証拠=古典・先人の考え(共通の教養)
イラン
法技術領域・エンシャー
主題の背景→3段落の説明→ことわざ・詩・感謝
証拠=聖典コーラン・預言者の言葉(ハディース)
日本
社会領域・感想文
対象の背景→書き手の体験→体験後の感想(成長)
証拠=自分の体験・感情(共感・間主観)
各型の背後に「推論の型」(演繹・蓋然的・アブダクション・弁証法=序章)/確実な対応=仏=弁証法・米=蓋然的推論
英語で発信する時は「相手(読み手)が期待する型」を意識すると伝わりやすい
④ 生成AIミニ実践(20分)

AIに4カ国式を出させて比較表を作る

使うAI:Google Gemini(無料・大学アカウントでOK)
配布プロンプト
次のテーマについて、4つのバージョンで短い作文(100語程度、日本語で可)を書いてください。①アメリカのエッセイ式(主張→根拠3つ→主張の言い換え)②フランスのディセルタシオン式(問題提起→正・反・合の弁証法→まとめと次の問い)③日本の感想文式(対象の背景→自分の体験→体験後の感想・成長)④イランのエンシャー式(主題の背景→3段落の説明→ことわざや詩で結ぶ)。テーマ:「大学生はアルバイトをすべきか」
4つの出力を読み比べ、比較表(型/結論の締め方/印象)に記入。第7回の米・仏分と合わせて4カ国そろう。個人情報は入れない
🔧 制作の技 7/9「出力形式の指定」 ― 「4つのバージョンで」と形を指定した。アプリ制作では「1つのHTMLファイルで出して」になる

振り返り と 次回予告

今日のリアクションペーパー

4つの型の中で、自分が一番
「書きやすい」「読みやすい」
と感じたのはどれ?なぜ?
次回 第9回

メンタル・
英語ヒエラルキー

英語力への不安や劣等感と、どう向き合うかを考えます。

自分の当たり前は、
世界の当たり前ではない。

型を知ることは、相手を知ること。
「論理的思考は、目的に応じて形を変えて存在する」
― 渡辺雅子『論理的思考とは何か』終章(p162)
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